【コロナ】データで見る新型コロナウイルス終息時期の予測

はじめに

去年中国で発生した新型コロナウイルスが世界中で猛威を奮っています。感染者数は30万人、死者数は1万人を超えましたが、終息の見通しは全く立っていない状況です。世界保健機関(WHO)は3月11日にパンデミックを宣言しました。

各国で外出禁止令や緊急事態宣言を発令するなど、様々な対策がとられていますが、パンデミックを起こしてしまった後では感染拡大を防ぐことは困難です。これからも被害は拡大すると考えるのが妥当です。

もちろん、このような対策は必要ですし、一定の効果はあるでしょう。また、経済的なダメージも大きく、世界的な不況に陥らないためには莫大な財政支出を伴う経済対策が必要です。すでに各国で対策が発表・実施され始めていますが、十分なものではないように思われます。

日本においても、一人当たり10万円の現金を給付する案が出ているところですが、10万円もらったところで状況が大きく変わるとは思えません。もっと画期的な対策が望まれます。

それから、日本にとってはオリンピックも大きな関心事です。すでに普通のオリンピックは無理そうな雰囲気で、あとは延期するか中止するかという議論が始まっていますが、なるべくいい形での解決をお願いしたいところです。

そういったわけで、すでに世界的に大変な状況なのですが、将来の見通しが立たないというのは不安なものです。4月から新学期・新年度が始まりますが、果たして社会は機能するのか、学校は通常通り授業が実施できるのか、会社は例年通りに新入社員を迎えて経済活動ができるのか、全然わかりません。

解析

そこで、コロナウイルスに関するデータを入手しエクセルで解析してみました。目的は、現状を把握し、将来の見通しを立てることです。

ただ、結論から言うと終息時期の予測はできませんでした。まだまだ感染拡大が続いており、終息の兆候は見えていないというのが現時点での結論です。

データは、欧州疾病予防管理センター(European Centre for Disease Prevention and Control:ECDC)のサイトからダウンロードしました。はじめて聞く機関でしたが、米国のCDCみたいなものでしょうから信頼できるデータと思われます。

このデータでは、各国の感染者数、死亡者数が日毎に集計されています。感染者数、死亡者数が多い国についてそれらの値を集計し、色々とグラフを描いたりしたのですが、特筆すべき知見は得られませんでした。ここでは、中国とそれ以外の国について集計した結果を示します。

下のグラフは、中国およびそれ以外の国における感染者数と死亡者数です。横軸は日付、縦軸は人数です。累積の値ではなく、その日に報告された数ですのでご注意下さい。また、縦軸は対数軸になっています。

新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数(中国)
新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数(中国以外)

中国の結果を見ると、1月の末に急激に感染者数が増えた後、2月初めをピークにして減少傾向になっています。死亡者数についても、感染者数から1-2週間遅れて同じような推移を示しました。

そもそもこのデータが信頼に値するのかという問題が大きいのですが、少なくとも公表されたデータではこのようになっていますので、我々としてはこれを参考にするしかありません。中国では新型コロナウイルスの流行がピークを超えたのでしょう。

一方、中国以外の国のグラフではそのような傾向は全く見えません。3月22日現在、感染者数・死亡者数ともに上昇を続けています。縦軸は対数ですので、直線的に増えているということは、指数関数的に増えているということです。

この先どこまで感染者が増え続けるのかは誰にも分からない状況です。50万人や100万人で止まるのか、5000万人とか1億人になるのか、あるいは10億人の単位になってしまうのか、現時点では不明です。

ただし、これをもって世界が壊滅的な状況になるかというと、そんなことはないと思われます。語弊はありますが、新型コロナはただの風邪の一種です。

普通の風邪を起こすウイルスがHCoV(Human Coronavirus)で、今回の新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患(COVID-19)を起こすのがSARS-CoV-2(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2)です。

名前からも分かるように、これは2002年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすSARS-CoV(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus)と非常に似たウイルスです。

SARSは2002年に流行したあと、治療法も確立されていませんし、完全に絶滅したわけでもありません。ただ、人類を絶滅させるようなウイルスではないことが分かったため、話題にも上がらなくなったという状況です。

私は専門家ではありませんのではっきりしたことは言えませんが、今回の新型コロナウイルスについても同じ感じかなとは思っています。今はこのウイルスの全貌が見えていないため大事になっていますが、しばらくして研究が進めば、ただの風邪の一種と見なされるようになるのではないかと期待しています。

国別死亡率

国別に見ると、現状ではイタリアが最も大きな被害を受けています。その理由は定かではありません。握手とかハグとか、人との接し方の習慣の差なのか、政府がとった対策に何か問題があったのか、遺伝子や抗体のレベルで何か差があるのか、あるいは単なる統計的な偏りなのか、全くわかりません。

以下に国別の死亡率を示します。国ごとに死亡者数を感染者数で割った値をグラフにしたものです。これを見ると、イタリア、イランが他国よりも有意に高い死亡率を示していることがわかります。

新型コロナウイルスの国別死亡率

ウイルスが再度変異したのかも知れませんし、単に検査体制の違いなのかも知れません。重症者を中心に検査していれば、死亡率は高くなると思われます。

原因が分かっていませんので、日本をはじめ他の国ももちろん油断はできません。今はとにかく感染のスピードを遅らせ、医療体制を維持することが大切なのだと思います。

おわりに

新型コロナウイルスに関して、現時点で入手可能なデータを解析して終息時期の予想を試みましたが、まったく予想がつかないという結論に終わってしまいました。インフルエンザのように季節性が強ければ、夏になる頃には落ち着くのかも知れませんが、現時点では何とも言えません。

ともかく、一日もはやく状況が落ち着くことを祈っています。