「亀田の柿の種」の比率変更には反対です。

はじめに

亀田製菓が販売する「柿の種」ですが、2020年6月から一部商品において、ピーナッツと種の比率を変更するとのアナウンスがありました。現状では種とピーナッツの比率は6:4なのですが、それを7:3にするとのことです。

私はほぼ毎日柿の種を食べているのですが、種よりもピーナッツの方が好きでして、普段からもっとピーナッツの割合を増やして欲しいと思っていましたので、このアナウンスはなかなかの衝撃でした。

亀田製菓のwebサイトによると、亀田の柿の種 比率見直し委員会というのがあり、そこでアンケートをとったり色々と活動しているようです。

アンケート(国民投票)

柿の種の比率について亀田製菓がアンケートをとった結果が、亀田製菓のサイトにありましたので、とりあえずグラフを描いてみたりしました。

この調査は、2019年10月1日から11月27日までの間実施されたようです。どのような形態でアンケートを実施したのかは不明です。少なくとも、日頃から柿の種のことを考えている私のところにはアンケート実施の情報は入ってきませんでした。

有効回答数は25万5903票。かなり多いですが、ニュースサイトなどの情報によると、「ツイッターやLINE、はがきから応募してもらいました」とのことですので信頼性はいまいちです。

つまり、本人確認が確実にはできませんので、ピーナッツ嫌いの人が一人で何票も投票していたりする事態が考えられます。何らかの対策があったのかも知れませんが、今となっては確かめる術はありません。

アンケートは、種:ピーナッツの比率を選択するもので、選択肢は0:10から10:0の11通りです。亀田製菓のサイトから結果を持ってきて、エクセルでまとめたものを示します。

現状の比率は6:4なのですが、最も票を集めた比率は7:3でした。この結果を受け、亀田製菓は柿の種の比率を実際に変更すると発表しています。

なお、ここでいう比率とは重さの比率です。個数の比率ではありませんので注意して下さい。

アンケート結果を見ると、最も得票の多かった7:3を中心に概ね左右対称の分布をしています。正規分布といっても問題ない程度の滑らかさです。

他の選択肢と比べてちょっとずれているのは5:5のところです。ここがもう少し低いと綺麗な曲線になるのですが、少し膨らんでいるように見えます。

つまり、5:5の選択肢を選んだ人がやや多かった、ということです。おそらくですが、ちょうど半々がいいんじゃね、という安易な考え方をする人が一定数いたのが要因と思われます。まあ、分からなくはないですし、7:3よりはずっと好ましいですが。

考察

アンケートでは一貫して重量比を問題にしていますが、言ってみればこれは製造者の目線です。原材料費は重さで決まってきますので、総重量が大切です。

ただ、消費者目線で見ると、重さはどうでもよくて、個数が大きな問題です。「種」「種」「ピーナッツ」「種」「種」「種」「ピーナッツ」という感じで交互に食べるのが普通ですが、何回に一回ピーナッツをはさめるかということです。

亀田製菓のサイトなどを探したのですが、柿の種とピーナッツ一個の重さは見当たりませんでした。ただ、比率見直し委員会の活動報告書2に、ヒントとなる情報が載っていましたので、そこから計算することができました。

活動報告書2によると、200gの柿の種において、6:4の場合と7:3の場合を比べると、小袋1つ当たり種が4.6粒増え、ピーナッツが1.8粒減るとのことです。これだけの情報があれば、方程式を立てて1粒当たりの重さを計算することが可能です。

詳細は省きますが、ピーナッツと柿の種の個数をそれぞれnp、nk、1つ当たりの重さをmp、mkと置くと、以下の式が立てられます。変数が4つで式も4つですので普通に解けて、np=7.2、nk=27.6という答えが出てきます。

つまり、柿の種の個別包装の1袋の中には、平均で種が27.6個とピーナッツが7.2個入っているということです。そして、比率を7:3に変更することによって、それが32.2個と5.4個に変わります。活動報告書2にある通り、種が4.6個増え、ピーナッツが1.8個減るわけです。

個数の比率で見てみましょう。6:4の場合、27.6個と7.2個ですので、ピーナッツ1つ当たりの柿の種の個数は約3.83個。7:3の場合は32.2個と5.4個ですので、約5.96個です。

つまり、従来は種を4個くらい食べる間にピーナッツ1つ食べられたものが、約6個に1個の割合になるということです。4個と6個ですので1.5倍です。とんでもなく大きな変化であることが分かると思います。

柿の種における種は、うどんで言えば七味唐辛子です。つまり、カレーで言えば福神漬け、お寿司で言えばわさびなのです。ミートソーススパゲティで言えばパルメザンチーズ、ピザで言えばタバスコ、サンマで言えば大根おろし、ラーメンで言えばコショウなのです。

少し考えてもらえれば分かると思います。福神漬けばっかりのカレーがおいしいですか?七味唐辛子をかけ過ぎたうどんを食べたいと思いますか?

ピーナッツの比率を減らし、柿の種の比率を上げるというのはそういうことなのです。

おわりに

私はここ数ヶ月、ほぼ毎日柿の種を食べていますが、実は柿の種とは別にピーナッツだけが入ったものを買っていたりします。私にとっては6:4でもピーナッツが全然足りませんので、自分で追加しているわけです。

じゃあ、7:3になっても同じじゃないかという意見もあろうかと思いますが、それは違います。柿の種の欠点は、水分をすぐに吸ってしまうので、小袋を開けたら全部食べきらないといけない点にあります。

6:4が7:3になると、種の量が増えますので、その分ピーナッツもたくさん食べてしまうことになるわけです。これは健康上きっとよくありません。

大体、種の都合でピーナッツの量が増えてしまうのは本末転倒です。福神漬けがたくさんあるからといって、カレーをたくさん食べる人はいません。わさびの量に合わせてお寿司の量を変えたりはしません。本末転倒です。

ということで、柿の種の比率問題について一通り考えてきました。6:4であれば、ピーナッツを少し足すことでなんとかおいしく頂いていたのですが、7:3ということであればちょっと考えざるを得ません。

まだ少し時間的な余裕がありますので、亀田製菓との付き合い方についてじっくり考えてみることにします。亀田製菓の方も、比率についてもう一度ご検討下さい。個人的には、ピーナッツだけの小袋と、種だけの小袋に分けたらいいのに、と思っています。