「あなたの番です」を見終わっての感想と考察

日テレのドラマ「あなたの番です」が最終回を迎えました。最終回は平均視聴率が19・4%と、記録的な高さだったそうです。田中圭とか原田知世にあまり興味が無かった私も、何となく全話見てしまいました。

全話見ておいて言うのも何ですが、あまり面白くは無かったですね。

交換殺人ゲームを中心に据えたミステリーの形をとっているのですから、ミステリー作品としてきっちりと仕上げてもらわないと不満が残ります。西野七瀬とか菜緒を露出させることが目的なのであれば、何もミステリー仕立てにしなくてもいいのです。横浜流星と西野七瀬の恋愛ものにした方がよっぽど視聴率も稼げるでしょうし。

一番の不満は納得のいく結末では無かったこと。ミステリーですから、伏線は全部きれいに回収しないといけません。また同時に、視聴者にも必要十分な情報を出し、論理的に謎解きが可能なようにしておくのが筋です。ところがこのドラマ、全然そういうことを気にしていません。ミスリードも多いですし、回収されなかった伏線もいっぱいあります。これでは誰も納得しませんね。

ひどいのは、犯人黒島の犯行動機です。人を殺したかったから殺した、なんて理由が許されるんなら、ミステリーなんて成立しません。漫画でいう夢オチみたいなもので、真面目に見ていた人たちを愚弄する設定です。

私は最初の数回で「これはまともに推理しても無駄だ」と気が付きましたので大きな被害はなかったのですが、真面目に考えてしまった人も多いと思います。

秋元康のやることですし、最初からこんな感じになることは分かっていたのですが、結局のところ全話見てしまいましたので、そういった意味では負けた感じがしています。

それで、このドラマを見てちょっと引っかかったのがホワイトボードの表です。交換殺人ゲームを推理するために黒島たちが作っていたものですが、最終的にはこのようになりました。

書いた名前引いた名前
101久住袴田吉彦細川朝男
103田宮こうのたかふみ元彼(波止陽樹)
104石崎石崎洋子吉村
201浮田赤池美里赤池幸子
202黒島元彼(波止陽樹)赤池美里
203シンイータナカマサオ袴田吉彦
301尾野白紙石崎洋子
302手塚細川朝男こうのたかふみ
304北川児嶋佳代白紙
402榎本管理人さん山際祐太郎
403藤井山際祐太郎タナカマサオ
502赤池赤池幸子児島佳代
管理人床島吉村管理人さん

結果的にこの推理はあまり役に立たなかったわけですがそれは置いておいて、気になったのはこんなにうまい具合にならないのでは?という点です。

どういうことかと言いますと、この交換殺人ゲームが成立するためには自分が書いたカードを自分で引いたりしてはいけないのです。また、自分がAを引いたとして、そのAを書いた人が自分の書いたカードを引いてもいけません。自分とその人の間でループが出来てしまい、そこで交換殺人の連鎖が終わってしまいます。

つまり、交換殺人ゲームが成立するためには、ひとつもループが出来ないようにカードが
上手く行き渡らないといけないのです。これって確率的には結構珍しいことでは?というのが気になった点です。

ということで、その確率を考えてみます。

まず全部の場合の数ですが、参加者が13人ですので、13の階乗で6,227,020,800通りです。その中でループができない組み合わせを考えていきます。一人ずつ順番にカードを引いていくと考えると、最初の人が引いていいカードは、自分が書いたカード以外ですので12枚です。次の人は、自分が書いたカードと、前の人が書いたカードは引けませんので11枚。以下同様に考えていくと、組み合わせの数は12の階乗ということがわかります。計算すると479,001,600通りです。よって確率は12の階乗割る13の階乗ですから、1/13となります。

約8%ですので確率的にあり得ないことではないですが、かなり低いのは確かで、偶然というには多少違和感があります。まあ、交換殺人ゲームをはじめたのがそもそも犯人黒島ではないですし、話の大筋には関係ないことではあります。

ということで、あなたの番ですについて気になったところをまとめてみました。がんばって推理していた人にとってはちょっとアレだったかも知れませんが、最初からミステリー要素を期待していなかった人からするとボチボチのドラマだった気がします。西野七瀬の出世作にはなったでしょうから、秋元康としては成功です。なんか癪ですね。